公開日 / 2025年1月6日
最終更新日 / 2025年4月10日
Prenatal diagnosis
出生前診断とは、羊水穿刺や血液検査・超音波検査などによって、生まれる前に赤ちゃんの病気や奇形の有無を診断することをいいます。出生前に胎児の状態や疾患等の有無を調べておくことで、生まれてくる赤ちゃんや母体を守ったり、赤ちゃんが生まれてすぐに治療したりできるように準備ができます。
また万が一、赤ちゃんに疾患が見つかった場合には、その疾患についての情報を提供したり、事前に知識を深めることもできます。
★検査について詳しく知りたい方は、それぞれの検査時期の前に医師にご相談ください。
非確定的検査 | 確定的検査 | ||
---|---|---|---|
検査名 | 母体血清マーカー検査 (クワトロテスト) |
NIPT* (非侵襲性出生前遺伝学的検査) |
羊水染色体検査 |
実施時期 | 15週 | 9週0日~15週6日 9~12週頃をおすすめしています (事前に夫婦で遺伝カウンセリングを受ける必要があります) |
16~17週 |
対象染色体疾患 | 21トリソミー 18トリソミー 開放性神経管奇形 |
21トリソミー 18トリソミー 13トリソミー |
染色体本数の変化 |
検査方法 | 採血 | 羊水穿刺(お腹に針を刺す) | |
検査可能日 | 月・火・木・金・土 14:00まで(祝日・年末年始を除く) | 診察時決定 一泊二日入院 | |
21トリソミーの検出率 | 80% | 99% | 99.9% |
結果の出方 | 確率(1/〇〇〇) | 陽性・陰性・判定保留 (陽性・判定保留の場合、確定検査を受ける必要があります) |
染色体の写真・核型 |
検査の特徴 | 偽陽性が多い 流産リスクがない |
他の検査方法に比べて 陽性的中率が高い 流産リスクがない |
流産リスクがあり(0.3%) |
費用 | 約2万円 | 18万円+税 (遺伝カウンセリング費用 5,000円 + NIPT採血・検査結果 175,000円) |
14~16万 |
2025年4月改訂
【NIPT をお考えの皆様にまず知っておいていただきたいこと】
日本医学会出生前検査認証制度等運営委員会(以下、運営委員会)」は、出生前検査を受ける妊婦さんとパートナーへのサポート体制、遺伝カウンセリングや検査の質や正確さをより確かなものにするための組織です。2021年、国の専門委員会「NIPT等の出生前検査に関する専門委員会」の報告書に基づき、日本医学会の下に設けられました。こども家庭庁と連携して活動しています。
運営委員会のウェブサイト:「一緒に考えよう、お腹の赤ちゃんの検査」
妊婦さんやご家族のためのサイトです。出生前検査の種類や受けた方、受けなかった方の生の声、相談先、生まれながらに病気のあるお子さんとの暮らしや福祉についての情報を提供しています。
この運営委員会では、妊婦さんおよびご家族の皆様にとって、安心と信頼に足るNIPTの提供ができる医療機関および検査分析機関の施設認証を行っています。当院は、認証を受けている医療機関の1つです。
認証施設一覧:https://jams-prenatal.jp/medical-analytical-institutions/
【私たちの施設は日本医学会出生前検査認証制度等運営委員会により公式に認証された「認証施設」です】
私たちの施設は、上記の運営委員会が策定した「NIPT 等の出生前検査に関する情報提供及び施設(医療機関・検査分析機関)認証の指針」の要件を満たしています。
当施設は、自施設でNIPTを実施し、検査の結果に応じて基幹施設(群馬大学医学部附属病院)と連携し対応する「連携施設」として認証されています。
認証施設についての詳細はこちらをご覧ください。
【私たちが提供するサービス】
1. 検査を受けるべきか迷っているあなたへ:
私たちは、検査を一方的に勧めるあるいは抑制するのではなく、検査の利点と限界を全てお伝えし、それぞれの方が納得して選択できるようお手伝いします。不安な気持ちにも寄り添います。
遺伝カウンセリング後に検査を受けない選択も尊重します。
2. 検査に不安を感じているあなたへ:
検査の前後で、専門家がわかりやすく丁寧にしっかり時間をかけて遺伝カウンセリングを行い、納得して自分たちの結論を導くことを支援しています。検査やその結果、それに伴う選択について、どのような場合でも基幹施設である群馬大学医学部附属病院と連携して最後まで対応します。
当施設で対応する主な専門家は、出生前検査に関する研修を修了している産婦人科医(日本産科婦人科遺伝診療学会による認定)院長 佐藤雄一、副院長 池田申之となります。結果の内容によっては、専門家の支援が受けられるようしっかりした協力体制をもっています。
出生前コンサルト小児科医(日本小児科学会認定)菱山富之、植原祥子が、生まれてからのケア(医療や福祉のことも含め)について詳しくお話しします。(https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=419)
3. 羊水検査等の提供:
確定的検査が必要となる場合や確定的検査を希望される場合には、可及的速やかに羊水検査等を提供できる体制を構築しています。
4. 包括的な産科・周産期診療の一連の流れとしての出生前検査の提供:
当施設で下記のような医療、支援を提供できる体制を構築しています。NIPT だけでなく、妊娠継続時は妊娠中の様々な不安や懸念にも、出産まで対応します。
NIPT検査前または検査後に超音波検査で何か異常が見つかった場合の対応も含め、多職種でのサポートを提供します。必要なときには、出生後にお子さんの治療にあたる小児科・小児外科などの専門科と妊娠中から連携します。また、臨床心理士や公認心理師などもかかわり、多職種が協力して身体面、社会面、心理面でサポートしていきます。
私たちは、13 トリソミー、18 トリソミー、21 トリソミー(ダウン症候群)を含む、障がいを持つ方々に対する差別を防止し、すべての人が共存できる包括的な社会の実現というノーマライゼーションの理念に基づく医療の提供を目指しています。
【私たちが行っていないこと】
遺伝カウンセリングなしの検査は実施しません。出生前検査は、検査そのものや、検査によって得られる結果を正しく理解し、その後の計画を考えていくなかで、さまざまな心配や迷いが生じやすい検査です。そのため、妊婦さんとパートナーのために、出生前検査の専門家による充実したサポート体制のもと実施することが大切であると認識しています。遺伝カウンセリングは妊婦さんとパートナーが正しい情報のもとにそれぞれのお考えで判断できるようお手伝いするもので、決して検査を止めようとするものでも勧めるものでもありませんので安心してお受けください。
13 トリソミー、18 トリソミー、21 トリソミー(ダウン症候群)のみを検査の対象としています。これは検査精度、安全性、そしてその医学的意義を考慮した結果です。